みなさまこんにちは。営業部 清水です。
さて、今回は『極度額』についてお話致します。
【極度額】とは耳慣れない言葉だとは思いますが、賃貸借契約を交わすのであれば知っておいた方がいい言葉です。
2020年4月1日から施行された改正民法では、『連帯保証人』の責任範囲や責任限度額のルールが変わりました。
連帯保証人という言葉は耳にしたことはあるのではないでしょうか。
あまりよくないイメージがあると思うのですが、そもそもこの連帯保証人とは何か？から見てみましょう。
◎連帯保証人とは？
少しややこしい話になるのですが、まず初めに『保証人』について説明します。
保証人：債務者が債務の支払をしない場合に、債務者に代わって支払をする義務を負う約束をする契約のことを保証契約といい、代わりに支払いを行う人のことを『保証人』といいます。
次に、『連帯保証人』についてご説明いたします。
連帯保証人：債務者が債務の支払をしない場合に、債務者に代わって支払をする義務を負う約束をする契約のことを連帯保証契約といい、代わりに支払いを行う人のことを『連帯保証人』といいます。
先ほどの『保証人』とほぼ同じなのですが違いは連帯保証契約です。単なる保証契約よりも債権者に有利（保証人にとって不利）な契約がこの連帯保証契約なのです。
ただ、実際のところは世の中のほとんどがこの『連帯保証人』としての『連帯保証契約』になっています。
◎どう違うの？
そうなると、どう違っていて、債権者に有利（連帯保証人にとって不利）な契約なの？という疑問が生まれると思います。それは、
・催告の抗弁権
・検索の抗弁権
・分別の利益
の3つがないということです。と言っても、ひじょうにわかりにくいと思いますので、以下をご確認ください。
・催告の抗弁権
債権者が保証人に対して債務の支払いを求めたとき、『保証契約』ではまずは債務者に催告するようにということができます。これを催告の抗弁権と言います。
しかし、連帯保証契約ではこれができません。つまり、連帯保証人は債権者から債務の支払いを求められれば、その求めに応じなければならないのです。
・検索の抗弁権
債務者が債務の支払いを拒んだため、債権者が保証人に対して債務の支払いを求めた場合は保証契約では、その債務者に支払い能力があること等を証明することで、主たる債務者の財産を差し押さえること等を求めることができます。これを検索の抗弁権と言います。しかし、連帯保証契約ではこれができません。つまり、債務者にどんなに支払い能力があったとしても、連帯保証人は債権者から債務の支払いを求められれば、その求めに応じなければならないのです。
・分別の利益
保証人が複数人いる場合、保証人は主債務額を人数で割った金額だけを返済すればよいのです。例えば、主たる債務者が１０００万円の借金を負っていた場合、保証人が４人いれば、原則として、各自が２５０万円ずつ合計１０００万円返済します。これを分別の利益と言います。しかし、連帯保証人の場合はこの考え方がなく、各自が主債務額全額を保証しなければなりません。連帯保証人が４人いた場合は、各自が１０００万円ずつを返済する義務を負うのです。
というように、債権者には有利ですが、連帯保証人にとってはひじょうに不利な契約となります。そのため、あまりいい印象がないのもうなずけます。
◎連帯保証人の責任
これではあまりにも連帯保証人にかかる負担が大きすぎるということで、以前からさまざまな議論がされていたのです。
そこで、連帯保証人が個人の場合（法人での保証や保証会社などの保証は、従前通り極度額を定める必要はありません）は保証すべき上限である【極度額】を定めることが義務付けられました。
責任の範囲内で保証すべき金額を算出し、連帯保証人の契約時点で賃貸借契約書に【極度額】を明記しなければなりません。
【極度額】は具体的な金額が分かるようにする必要があり、【極度額】の明記が無い場合は連帯保証契約そのものが無効となります。
余談ではありますが、【極度額】が適切かそうでないかといった裁判が行われた例はありません。極度額には相場はあるのでしょうか。
今回は、あまり耳慣れない言葉【極度額】についてご説明させていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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